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コラム

秘密情報の開示?提供?貸与?譲渡?

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本項では、秘密情報の開示・提供・貸与・譲渡についてのコラムを掲載しています。

秘密保持契約において、秘密情報を相手方に与える行為が法的にはどのような位置づけになるのか、実ははっきり決まっていません。

このため、秘密保持契約書において、その意義を明記しておかないと、トラブルになることもあります。

「秘密情報を与える」ことの法的な意味

秘密保持契約に関する研究は、非常に歴史が浅く、ローマ法の時代から研究されているような典型的な契約に比べて、法的な性質が定まっていないという現状があります。これは、秘密保持契約の個々の契約条項においても同様です。

本項で取り上げる「秘密情報を与える」という行為も、民法上、どのような行為なのか、実は明確に決まっていません。そもそも、権利・義務のいずれかという点からして、はっきりしません。また、権利・義務のいずれかであることを秘密保持契約書に明記したところで、その法的な性質が民法上のいずれの契約に該当するのかも不明です。

だからこそ、秘密保持契約書において、「秘密情報を与える」行為の法的な性質を決める必要があります。

情報の開示者が「情報を与える」ことは、本来であれば、単に情報の受領者側に情報を認識させただけであり、開示者から受領者には、なんらの権利が移転しません。当然ながら、この情報を受領者が勝手に使用してしまうと、不正競争行為として、不正競争防止法に違反する可能性があります。

しかしながら、このような「勝手に使ってはならない」旨を秘密保持契約書に規定しておかないと、いわゆる「黙示の合意」があったものとして、不正競争防止法違反とならないこともありえます。情報の使用許諾の条項や、目的外使用の禁止の条項は、このようなことがないように規定するものです。

物品(有体物)については「譲渡」か「貸与」かを明記する

秘密情報を開示する際に特に注意したい点は、秘密情報により具現化した物品(有体物)を引渡す場合です。これは、サンプルの引渡しや、いわゆるMTA(Material Transfer Agreement、マテリアル・トランスファー契約、試料供給契約)の場合に問題となります。

物品の引渡しは、民法上は、贈与契約、売買契約、消費貸借契約、使用貸借契約、賃貸借契約、寄託契約などに該当します。秘密保持契約において物品を引渡す場合は、一般的には、贈与契約または使用貸借契約(タダで貸す契約)に該当します。

ただ、一般的な秘密保持契約書には、単にサンプルや物品を「提供する」としか規定されていないことが多く、そのサンプルが「譲渡」されたのか「貸与」されたのか、という点はほとんど明記されていません。

この点について、「譲渡」の場合であれば、開示者から受領者に所有権が移転しますので、受領者は、サンプルを自由に使用したり、処分したりすることができます。特に、リバースエンジニアリングを自由におこなうことができる、という点が重要となります。このため、「譲渡」は、受領者にとっては有利であり、開示者にとっては不利であるといえます。

「貸与」の場合であれば、開示者から受領者に所有権が移転しませんので、受領者は、「使用貸借契約」の制限の範囲でしかサンプルを使用できません(当然ながら処分はできません)。すでに述べたのようなリバースエンジニアリングについても、一定の制限が課されるものと思われます。このため、「貸与」は、開示者にとっては有利であり、受領者にとっては不利であるといえます。

もっとも、研究途中の試料、試薬、化合物のようなサンプルを取扱う場合において、実験で消費することが前提のようなサンプルの提供のときは、「譲渡」とせざるを得ません。このような場合、開示者としては、契約上有効にならないかもしれませんが、ある程度厳しい条件を課した契約内容とするべきです。

なお、ここで取り上げた物品の所有権などの権利(物権)とその知的財産権(営業秘密、特許を受ける権利など)とは、まったく別の権利です。このため、開示者としては、たとえ「譲渡」によって物品そのものの所有権が開示者から受領者に移転した場合であっても、その知的財産権は移転しない旨を秘密保持契約書に明記しておくべきです。

参考文献

  • 特になし

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最終更新日2011年9月23日