情報漏洩とその対策
著作権の主張
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本項では、情報漏洩が発生した場合の対策として、著作権の主張について解説しています。
著作権が発生する秘密情報については、たとえ情報漏洩があったとしても、なお著作権として保護を受けることができます。
ただし、確実に著作権として権利を主張するのであれば、事前に権利を確保しておくための対策が重要となります。
著作権は情報漏洩があっても権利として保護される
秘密情報が漏洩してしまうと、その情報は、公知の情報となってしまいます。つまり、秘密情報が漏洩することで、その情報が営業秘密の要件である「非公知性」を欠いてしまい、営業秘密としての保護を受けることができなくなります。
当然ながら、その秘密情報が営業秘密として認められた場合は、漏洩の経緯によっては、漏洩させてしまった者に対して、不正競争防止法にもとづくなんらかの請求ができます。しかし、その後は、事実上営業秘密として保護されることは難しいといえます。
それでは、このように漏洩してしまった情報は、その後まったく保護することができないのかというと、そうではありません。情報漏洩があった後でも、情報の種類によっては、著作権法による保護が期待できます。
著作権は、公開されている著作物のものであっても、秘匿されている著作物のもであっても、著作権法によって保護されます。このため、秘密情報に著作物としての著作権が発生している場合は、情報漏洩によって公開されてしまったとしても、なお著作権としての保護を受けることができます。
著作権は、営業秘密以外では、事実上唯一、秘密情報を秘匿したまま保護することができる知的財産権です。しかも、公開された後であっても保護することができる権利ですので、非常に汎用性が高い権利であるといえます。
ただし、著作権による保護には、大きなデメリットがあります。それは、著作権があくまで「表現」を保護する権利である、という点です。つまり、発明、ノウハウ、顧客情報、設計図面のような「アイデア」については、著作権法では保護の対象外ということになります。
事業者が普段使用している秘密情報のうち、著作権として保護されることが考えられるものは、コンピュータのプログラム、ソフトウェア、システムなど(プログラム著作権)が考えられます。また、ある種の情報の集合体(編集物著作権やデータベース著作権)も該当する可能性があります。
このような性質の秘密情報が漏洩してしまった場合は、開示者としては、著作権としての権利を行使することで、情報の不正使用の防止することができます。
文化庁・ソフトウェア情報センターへの登録と確定日付
ただし、我が国の著作権法は、いわゆる「無方式主義」を採用しています。つまり、著作物が作成された時点で、特に官公署への手続き等をおこなわなくても、自然発生的に著作者に著作権が帰属する制度となっています。
ということは、特に何も対策をしなくても、情報漏洩があった際には、秘密情報を著作物として著作権を主張できるかというと、そう簡単ではありません。
確かに、無方式主義の場合は、特になんらかの手続きも必要ありませんので、理屈のうえでは、秘密情報に著作権が発生しているといえるかもしれません。しかし、それは、裏をかえせば、「官公署への手続き等を経た」という証拠がない、ということになります。
つまり、著作権を行使するためには、そもそも「著作権がある」ということを立証しなければなりません。
ここで重要となる方法が、文化庁(ブログラム著作権以外)や財団法人ソフトウェア情報センター(プログラム著作物のみ)への著作権登録です。文化庁や財団法人ソフトウェア情報センターに著作権を登録することで、登録した者が著作権者であると推定されるようになります(著作権法第75条~第76条の2)。
もっとも、「推定」ですので、反対の証拠(登録した者が著作権者ではないという証拠)がある場合は、著作権を主張できません。
文化庁や財団法人ソフトウェア情報センターへの登録は、著作権の発生のためには必須の手続きではありませんが、著作権の存在を証拠づける強力な手続きです。
特に、営業秘密として秘匿している秘密情報については、公開することができませんので、どうしても著作権の存在の証拠が弱いといえます。このため、積極的に著作権の登録制度を活用してみてください。
なお、プログラム著作権以外の著作権の登録では、著作物そのもの登録するわけではありません。このため、実務的には、著作物について、書面化して確定日付を押印したり、CD-Rなどに記録したものを密封した封筒などに確定日付したりして、「確か確定日付現在にその著作物が存在する」という証拠を保管して残しておく必要があります。
関連項目
参考文献
- 荒竹純一『ビジネス著作権法』産経新聞出版;2006年
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