個人情報保護法
個人情報漏洩と「商品券」
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本項では、個人情報が漏洩した場合の商品券の送付について解説しています。
個人情報が漏洩した場合、多くの企業では、謝罪の意味を込めて、商品券を送付する対応をしています。
これには、出訴率を引き下げることと、損害賠償金の前払いという目的があります。
出訴率を下げるために商品券を送付する
大手企業から個人情報が漏洩した場合、企業は、様々な対策を打たなくてはなりません。
まず、迅速な記者会見やプレスリリースなどを通じて、事実関係を公表します。このような事実関係の公表は、特に個人情報保護法で義務づけられているわけではありません。
しかしながら、「事業者において、個人情報の漏えい等の事案が発生した場合は、二次被害の防止、類似事案の発生回避等の観点から、可能な限り事実関係等を公表することが重要である。」とされています(平成16年4月2日閣議決定)。
この際、併せて被害者に対して謝罪することになりますが、別途でお詫び状とともに、商品券が送られることがあります。この商品券には、①単純なお詫び、②被害者が顧客である場合における顧客流出の防止、③適切な対応をすることによるブランド価値の低下の防止、④出訴率を下げる―という意味があります。
このうち、法的に最も重要な点は、④の「出訴率を下げる」という点です。個人情報が漏洩した場合、法的なリスクとしては、直接的な損害賠償請求があります。この損害賠償請求があった場合であっても、1件あたりの損害賠償額は、数千円~数万円程度のものです。
しかしながら、一般的に、個人情報の漏洩事件では、大量の情報が漏洩します。このため、1件あたりの損害賠償額が低いとはいっても、大量の訴訟や集団訴訟を起こされると、損害賠償額や事務コストが非常に高くなる可能性もあります。
商品券を送付することで、このような訴訟が発生する確率が下がりますので、このよう訴訟によるリスクを抑えることができます。
商品券の額だけでも膨大になる
過去に個人情報の漏洩があった際に、実際に商品券を送付した例が何件かあります。代表的な例は、次のとおりです。
ローソン会員情報漏洩事件:ローソンのクレジットカードである「ローソパス」(現在の「ローソンPontaカード」)の会員の個人情報が漏洩した事件。ローソンが500円の商品券を会員約115万人に送付。商品券の総額は500円×115万=5億7,500万円。
ファミリーマート会員情報漏洩事件:ファミリーマートのオンラインショッピングの会員制サービスである「ファミマ・クラブ」(現在の「ファミマネット会員」)の会員の個人情報が漏洩した事件。ファミリーマートが1,000円相当のクオカードを会員18万2,780人に送付。クオカードの総額は1,000円×18万2,780=1億8,278万円。
ヤフーBB個人情報流出事件:ヤフーのプロバイダーサービスである「ヤフーBB」の利用者の個人情報が漏洩した事件。ヤフーが500円分の郵便振替支払通知書を利用者451万7,039人に送付。郵便振替支払通知書の総額は500円×451万7,039人=22億5851万9500円。
なお、商品券等の送付には、これらの商品券等の直接的なコストに加えて、送付の為に必要な郵送の料金やDM作成のような間接的なコストも発生します。また、当然ながら、クレーム対応の人件費なども発生します。
このため、仮に訴訟に至らなかったとしても、個人情報が漏洩してしまった場合は、膨大なコストが発生してしまいます。
関連項目
参考文献
- 浜辺陽一郎『個人情報・営業秘密・公益通報Q&A』労働行政;2008年
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