秘密保持契約書の主要な条項
残存条項と契約終了後の義務
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本項では、秘密保持契約書の主要な条項のうち、残存条項と契約終了後の義務について解説しています。
秘密保持契約は、他の契約と違って、契約終了後も各契約条項が重要となる可能性がある契約です。このため、残存条項を規定しておいて、一定の契約条項については、契約終了後も有効であるように規定します。
ただ、なんでもかんでも残存条項にすればいい、というわけではありません。このため、ある程度条項を特定したうえで、なるべく期間を限定して規定してください。
残存条項とは?
残存条項とは、契約終了後であっても、一部の契約条項の効力を存続させるための条項です。具体的には、「本契約終了後においても、第○条、第○条、第○条は、なお有効に効力を有する。」(最も単純なパターン)というように規定します。
秘密保持契約書においては、残存条項は、特に秘密保持義務の効力を存続させるために規定されることが多いです。また、情報漏洩があった場合の対応や、損害賠償の規定なども残存条項の対象となります。
本来であれば、契約終了後に秘密情報の漏洩や不正使用がないようにするために、理想的には、契約の終了と同時に秘密情報のすべてを返還してもらい、または再生不可能な状態で破棄してもらうべきです。
しかしながら、現実的には、完全な形で返還・廃棄は難しいものと思われます。このような事情があるため、秘密保持義務に関連する条項は、契約が終了した後でも、有効となるようにします。
なお、受領者にとっては、残存条項がない秘密保持契約書のほうが好ましいといえます。ただ、残存条項がないからといって、契約が終了した直後から秘密情報を勝手に使ってもいいかというと、必ずしもそうとはいえません。
このような行為は、場合によっては、不正競争防止法や著作権法に違反することになる可能性があります。また、民法上の損害賠償の対象となる可能性もあります。
どの条項を何年残すのかを検討する
残存条項として一部の契約条項を指定する場合、どの条項を残すのかを検討します。
上記のとおり、残存条項の対象としては、主に秘密保持義務、秘密情報の管理、秘密情報が漏洩した場合の対応、損害賠償、競業避止義務などが規定されている条項を残すことが考えられます。特に、秘密情報が漏洩した場合を想定して残存条項の対象を検討してください。
また、秘密情報の使用許諾については、秘密保持契約や付随する契約の性質によっては、残存条項の対象とするべきかそうでないかが分かれます。
例えば、コンサルティング契約に付随する秘密保持契約のように、契約の終了後、開示された秘密情報(コンサルティングの内容)を使用する場合、受領者としては、秘密情報の使用許諾の条項を残存条項の対象としてもらうべきです。
他方、フランチャイズ契約に付随する秘密保持契約のように、契約の終了後、開示された秘密情報(経営にノウハウやマニュアル)を使用できないようにするためには、秘密情報の使用許諾の条項は、残存条項の対象としてはいけません。
なお、なんでもかんでも残存条項の対象としてしまうと、契約が終了した意味がなくなってしまいます。契約条項の大半を残存条項としたい場合は、秘密保持契約を終了させることなく、契約期間を長く設定することで対応してください。
また、残存条項は、期間を設定することがあります。一般的な秘密保持契約書では、秘密保持義務の残存条項を半永久的な内容としているものもありますが、これは、契約条項としては、必ずしも有効となるとは限りません。
このため、例えば陳腐化が早い秘密情報についての秘密保持義務の残存条項は、短めに設定することも検討してください。逆に、陳腐化が遅い秘密情報(特に営業秘密の要件を充たしている情報)については、比較的長期間の残存条項でも、差し支えないものと思われます。
参考文献
- 佐藤孝幸『実務契約法講義[第3版]』民事法研究会;平成19年
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