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1.個人情報と商品券

個人情報と商品券。

一見して何の関係も無いように思われますが、そうではありません。

実は、個人情報と商品券は、密接な関係があります。



個人情報が流出してしまうと、まともな会社であれば、記者会見を開くなり、手紙を送付するするなり、電話するなりして、その個人情報のオーナーに対して、謝罪をします。

これには、いろいろと理由があります。

最も重要な理由は、その個人情報のオーナーを始めとした、顧客が流出してしまうことを防止する、という点にあります。

また、世間向けには、たとえ個人情報が流出したとしても、ちゃんとその旨を公開して謝罪する企業である、ということをアピールして、災いを転じて福となす、という意味もあります。

つまり、企業のブランド価値の低下を防ぐ、ということです。

そして、法的には、出訴率を下げる、という意味があります。



出訴率というのは、文字通り、あるトラブルに巻き込まれた人が、裁判所に訴え出る確率のことです。

個人情報の損害賠償額は、最低でも10,000円程度にはなるものと思われています。
(詳しくは、個人情報の値段を参照。)

仮に、1,000人分の個人情報が流出してしまって、万が一、全員に集団訴訟でも起こされてしまうと、企業は、1000万円の損害賠償金を負担しなくてはなりません。

これが、人数が10,000人だった場合は、1億円です。

しかも、ほぼ企業側には勝ち目がありません。

ただ、これは、あくまで被害者の全員が訴訟という行動に出た場合です。

ですから、出訴率が低ければ低いほど、企業にとっては、損害賠償額を押さえることができる、ということになります。



その出訴率を下げる(同時に、顧客の流出を防ぐ)ために使われているのが、商品券です。

つまり、商品券(500〜1,000円が相場)には、送付することによって、個人情報のオーナーの感情を和らげる効果がある、ということです。

この方法は、2003年6月26日に、ローソンの会員情報56万件の流出が発覚した際に、ローソンがリスクマネジメントの一環として取り入れた手法です。

その後、この手法は、ほかの個人情報漏洩事件にも活用されるようになりました。

1人あたり500円の商品券ですから、商品券の代金だけでも2億8000万円という金額になります。

そこまでしなくてはならないほど、情報漏洩のリスクは高いということです。

ちなみに、商品券を送付したからといって、必ずしもその個人情報のオーナーが訴訟を諦めることになるわけではありません。

商品券の送付は、法的には、単なる「贈与」であって、「和解契約」ではありませんので、なお、リスクは存在するといえるでしょう。

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