秘密情報が、不正競争防止法における営業秘密と認められるためには、3つの要件(秘密管理性・有用性・非公知性)を充たしていなければなりません。
(営業秘密の定義については、
営業秘密の定義を参照。)
経済産業省作成の営業秘密管理指針によると、
「秘密管理性」が認められるためには、その情報を客観的に秘密として管理していると認識できる状態にあることが必要である。
具体的には、@情報にアクセスできる者を特定すること、A情報にアクセスした者が、それが秘密であると認識できること、の2つが要件となる。
とのことです。
(営業管理指針7ページ参照。なお、営業秘密管理指針については、
『営業秘密管理指針とは?』を参照)
実は、営業秘密の3つの要件のなかでも、この秘密管理性の要件を満たすことは、そう簡単ではありません。
実際に、平成17年10月12日現在、秘密管理性について争われたものと思われる裁判が49件ありますが、そのうち、
秘密情報の一部でも秘密管理性を充たしていると認定された判例は、わずか14件に過ぎません。
つまり、それだけ厳格な要件であるということです。
さて、具体的な管理方法は『営業秘密管理指針』に譲るとして、ここでは、秘密保持契約について焦点を当ててみます。
秘密情報に秘密管理性が認められるには、秘密保持契約書もその要素のひとつとして、大きく評価されています。
『営業秘密管理指針』でも、秘密保持契約については、以下のように記載しています。
「営業秘密の保護にあたっては、物理的・技術的管理や組織的管理に加え、契約により、営業秘密を開示した相手方に対して秘密保持義務を明確化することが重要である。
・・・(中略)・・・
退職者に秘密保持義務を課す場合には、一般的には、秘密保持契約を締結する必要がある。
また、取引先に営業秘密を開示する場合にも、秘密保持義務を含んだ契約を締結する必要がある。
・・・(以下略)」
(営業秘密管理指針32ページ)
実は、秘密情報の秘密管理性が認められた判例のすべてで、従業員や退職者、取引先などと秘密保持契約を結んでいたわけではありません。
ただ、秘密保持契約がなくても秘密管理性が認められた事例は、他の部分で厳格な管理をおこなっていた場合にしか認められていません。
そういう意味では、営業秘密管理指針で指摘されているように、秘密情報の秘密管理性が認められるためには、秘密保持契約書が、事実上「
必要」といっても過言ではありません。
ただし、それでは秘密保持契約書さえ取り交わしていれば、秘密情報に秘密管理性が認められるかというと、そう簡単にはいきません。
秘密保持契約の契約条件が有効なものでなければ、その秘密保持契約自体が否定されてしまい、結局、秘密情報に秘密管理性が認められないことになってしまいます。
つまり、
いい加減な秘密保持契約書では、不正競争防止法の保護を受けることができない、ということです。
秘密情報を守るために不正競争防止法を活用しようと思うのであれば、秘密保持契約の実態や情報管理の実態に合わせた、しっかりとした秘密保持契約書を作成しましょう。