秘密保持契約書の達人

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重要な契約条項記事一覧

普通の契約ではあまり重要ではない目的条項とは、契約の全体的な内容や趣旨を総論的に規定する条項です。このため、その他の個々の契約条項に比べて、さほど重要視されることはありません。それどころか、中には、目的条項で高尚な理念などを謳っている契約書などもありますが、実際の契約実務では特に効果はありません。一般的な契約において、目的条項が問題となるのは、契約書に記載されていない事態が発生した場合です。このよ...

情報の開示は、一般的な秘密保持契約を構成する重要な要素のひとつです。秘密保持契約では、秘密情報の開示が前提となります(そもそも秘密にしておきたい情報を開示しないのであれば秘密保持義務は発生しません)。このため、当然ながら、契約内容としても、情報の開示を規定するべきです。情報開示は利害が対立する一般的に、ビジネスでの取引は、より多くの情報を共有していたほうがスムーズに進みやすいですが、現実にはそうは...

「見てもいいけど使っちゃダメ」秘密情報の使用許諾は、一般的な秘密保持契約を構成する重要な要素のひとつです。非常によく勘違いされがちですが、開示者が秘密情報を開示したからといって、受領者が勝手に秘密情報を使用してよいというわけではありません(黙字の使用許諾が認められる可能性もないわけではありませんが)。開示者から秘密情報を開示されただけでは、いわば「見てもいいけど使ってもいいとは言っていない」という...

秘密保持義務・守秘義務は、秘密保持契約を構成する最も重要な要素のひとつです。当然ながら、秘密保持義務・守秘義務がなければ、秘密保持契約は成立しません。秘密保持義務・守秘義務は、開示者が受領者に対して、情報漏洩を直接的に制限する条項です。このため、情報漏洩があった場合は、開示者が直接的に受領者の契約違反(債務不履行)を追求できる根拠となります。秘密保持義務は「直接活用する」タイプの義務ではないただ、...

秘密保持契約では、秘密情報は原則として開示が禁止されます。ただ、全面的に秘密情報の開示を禁止すると、受領者にとっては、非常に不利になることがあります。このため、秘密情報の例外とは別に、秘密情報に該当する場合であっても、秘密情報を開示できるように、秘密保持義務の例外を規定します。

意外に忘れられるので必ず規定する目的外使用の禁止の条項は、受領者による秘密情報の目的外の使用を禁止する規定です。秘密保持契約において、目的外使用の禁止規定は、秘密保持義務と並んで、最も重要な条項のひとつです。それにもかかわらず、場合によっては重要視されず、規定されないことすらあります。確かに、秘密保持義務は、秘密情報の漏洩や第三者に対する開示を禁止する意味で、非常に重要な条項ではあります。しかしな...

秘密情報の漏洩は、受領者の杜撰な管理が原因でおこります。このため、秘密保持契約では、受領者から情報が漏洩しないように、管理方法や管理義務を規定することがあります。ただ、開示者があまりに厳格に情報管理について規定してしまうと、受領者から反発されてしまうことも予想されます。また、実際に守ることができない契約となってしまいます。これでは契約書の意味がありません。このため、実際には、管理方法や管理義務は、...

情報の不正使用はリカバリーが難しい受領者との間で秘密保持契約を結んだ場合には、秘密情報の不正使用があったとしても、契約や不正競争防止法により、開示者は、ある程度は救済されます。しかしながら、実際に救済されるためには、裁判を起こして、煩雑な手続きや困難な立証作業をしなければなりません。しかも、不正競争防止法にもとづく一定の保護手続き(いわゆる「インカメラ審理」など)を経ない限り、裁判は原則として公開...

秘密保持契約の契約期間中、秘密情報の受領者には、各種の契約条項によって抑止が効いていますので、情報漏洩・不正使用はあまり発生しません(もちろん、まったくないわけではありません)。他方、契約終了後は、残存条項の内容によってはある程度は抑止が効くとはいえ、あまり契約による抑止が期待できません。このため、開示者としては、契約終了後に情報漏洩・不正使用がないように、なんらかの対策を取る必要があります。秘密...

残存条項とは、契約終了後であっても、一部の契約条項の効力を存続させるための条項です。英語表記(survival clause)から、「サバイバル条項」と表現することもありますが、一般的な日本語表記の契約書の見出しでは、「残存条項」と表現します。具体的には、次のように規定します(最も単純なパターン)。第○条(残存条項)本契約終了後においても、第○条、第○条および第○条は、なお効力を有する。秘密保持契...

第一審の裁判所は自由に決めてよい合意管轄とは、契約当事者が契約書で合意することにより設定する第一審の裁判所の管轄のことです。民事訴訟法第11条(管轄の合意)1 当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。2 前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。3 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人...

合意管轄のページでは、当事者が合意することにより、裁判所を指定することができることを解説しています。ただ、すべての裁判について、裁判所を指定することができるわけではありません。特に注意を要するのが、知的財産権に関係する裁判です。知的財産権に関する裁判の管轄は特別扱い知的財産権に関する裁判の管轄は、その知的財産権の種類に応じて、民事訴訟法に定められています。この管轄はいわゆる「専属管轄」であり、一部...

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