秘密保持契約書の達人

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非常に重要な秘密情報の定義:目次

  1. 秘密保持義務違反=「秘密情報」の漏洩・開示
  2. 秘密保持契約書で秘密情報を特定する

秘密保持義務違反=「秘密情報」の漏洩・開示

秘密保持契約は、契約当事者に秘密時保持義務を課し、秘密情報の漏洩の防止を最大の目的とした契約です。このため、情報の漏洩があった場合は、秘密保持義務違反となります。

 

では、いざ情報の漏洩があった場合、そのことをもって、直ちに秘密保持義務違反といえるかというと、必ずしもそうとは限りません。

 

秘密保持義務違反があったといえるかどうかは、漏洩した情報が、秘密保持契約書で「漏洩や開示を禁止している情報」であるかどうかによって決まります。

 

「秘密情報」でない情報の漏洩・開示は秘密保持義務違反ではない

このような漏洩や開示を禁止している情報を、一般的に、「秘密情報」といいます。秘密保持契約では、この「秘密情報」を第三者に開示し、または漏洩することを禁止します。これが「秘密保持義務」となります。

 

ということは、「秘密情報」や漏洩や開示を禁止している情報でない情報の開示や漏洩は、秘密保持義務違反とはなりません。

 

つまり、この秘密保持義務に違反したかどうかは、第三者に開示され、または漏洩した情報が秘密情報なのかどうかがポイントとなります。だからこそ、その判断基準である秘密情報の定義が非常に重要となります。

 

このように、秘密情報の定義は、秘密保持義務の根幹に関わる重要な規定です。このため、秘密保持契約書の作成実務においては、「秘密情報の定義」条項は、最も重要な条項のひとつであるといえます。

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秘密保持契約書で秘密情報を特定する

秘密保持契約は法的な定義がない

そもそも、秘密保持契約そのものが、法律で明確に定義づけられている契約ではありません。また、原則として、契約当事者には、法律上は秘密保持義務が課されるものではありません。

 

このため、秘密保持契約を締結していない場合は、原則として、情報やその保有者が保護されることはありません。逆にいえば、情報を保護したい場合は、秘密保持契約を結ぶ必要があります。

 

参照:秘密保持契約書とは

 

「秘密情報」に法的な定義はない

また、「秘密情報」も、法律で定義されている法令用語ではありません。例外として、「その業務上取り扱った事項について知り得た秘密」(行政書士法第12条など)のように規定されることがありますが、これは極めて限定的な契約の場合に限られます。

 

このため、秘密保持契約の内容や秘密情報の定義は、個々の秘密保持契約ごとに、契約当事者が自由に決めることができるものであり、また、決めなければならないものでもあります。

 

つまり、秘密保持契約の当事者は、「何が秘密情報に該当するのか」という点を相手方と合意したうえで、秘密保持契約書で定義づける必要があります。

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